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銀行融資と決算書

車の購入や設備投資、不動産賃貸業での物件購入など、銀行融資を検討する場面は多いと思います。決算書は、融資審査を行う上で重要性の高い資料です。そこで今回は、銀行が見る決算書のポイントをご紹介します。

◆貸借対照表
1.純資産がマイナスでないか
 純資産は総資産-総負債で計算されます。純資産がマイナス(債務超過)の場合、
 会社が破たんする可能性があるとして融資は難しくなります。
2.借入金(銀行などからの既存借入金)の残高が多すぎないか
 一般的に月商の3ヶ月分までが適正な借入金残高と言われています。ただし不動産賃貸業など
 借入金を多く必要とする業種ではこの数値には当てはまりません。
3.貸付金がないか
 特に社長への貸付金は、融資したお金が社長個人に使われる可能性があると疑われます。

◆損益計算書
4.営業利益・経常利益が黒字か
 営業利益(事業でどれだけ利益を上げているのか)や経常利益(支払利息などを支払った後に
 どれだけ利益が残るのか)は黒字であることが前提です。
 特に営業利益で赤字が続いている場合、融資は難しくなります。

また、融資を受ける際には、返済財源の説明も重要です。

借入金の返済財源は「利益+減価償却費」の金額です(減価償却費は経費に含まれますが、
実際に現金の支出はないため手元にお金が残ります)。
返済金額が「利益+減価償却費」よりも多いと、借入金の返済のために
また融資を必要とする状況になってしまいます。

現在のキャッシュフローが厳しく返済財源が不足している場合は、目標利益を明確にすると良いでしょう。
目標利益 = 返済金 - 減価償却費

目標利益を達成できる根拠が具体的に説明できれば、
銀行にとっても返済財源が明確になり、融資が通りやすくなります。

例えば…
・新規顧客と契約が取れたので、来年から売上が500万円増加する
・外注していた作業を社内でできる様になったので、外注費が300万円減少する
・原材料の仕入先を変更し、仕入が3%減額する
・借入金で設備を新しくすることで、今までより低コストで製造が可能になり
 利益率が5%アップする
・借入金で購入する物件の家賃収入が月100万円の見込み
                                      など

融資を受けるためには決算書の内容を詳しく理解することが必要となります。
融資をご検討される方は、お気軽にお問い合わせくださいませ。

ふるさと納税について

「ふるさと納税」という言葉、一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。

「おいしいものが食べられて、節税になる。」と言われている制度ですが
節税になる仕組みが不明確という声もあるため
今ならまだ間に合う、年末に差し掛かるこのタイミングで、基本的な内容を説明致します。

ふるさと納税とは、「地方自治体への寄付を通じて地域創生に参加できる制度」です。
好きな自治体に寄付金を贈り、そのお礼として送り先の名産品・特産品が「御礼品」として受け取れるシステムです。

では、節税面ではどのような効果があるのでしょうか。
個人の(確定申告により確定する)所得税や住民税は、所得(収入-経費)から【控除】をした金額を対象に算出されます。
この【控除】には、生命保険料控除・医療費控除などがありますが、その中のひとつが【寄付金控除(ふるさと納税)】です。

例えば、10万円の寄付をすると自己負担額(2,000円)を差し引いた9万8,000円が寄付金控除額になります。この金額が【控除】になるため、結果として節税になります。

また、寄付できるほとんどの自治体で「御礼品」があります。
「御礼品」については各自治体で様々ですが、寄付額の3割ほどもらえるところが多く
10万円の寄付をした場合、約3万円分のお米やお肉などを受け取れるため
実質2,000円の負担はありますが、その負担以上に魅力的な仕組みだと言われています。

上記、基本的な仕組みを説明致しました。
ただし節税になる寄付金上限額は各個人ごとに異なるためが実際にふるさと納税をする際は、
ご相談いただければと存じます。

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【東京事務所 引越しました!】

11月27日(本日)より下記、新事務所に移転しました。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

〒141-0021
東京都品川区上大崎2-15-22神谷ビル5F
TEL 03-6455-7888
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中小企業退職金共済制度

中小企業退職金共済制度(以下「中退共」)とは、独力で退職金制度を整備することが難しい中小企業でも、退職金制度を設けやすくすることを目的とした制度です。また、掛金が全額損金(個人事業者の場合は必要経費)になるなど税務上のメリットもあります。今回は中退共について説明をしていきたいと思います。

1)加入要件
中退共は、「資本金(出資金)の額要件」「常時使用する従業員数要件」のいずれかを満たすことで加入ができます。これらの数字は業種ごとに異なり、例えば、小売業であれば前者は5,000万円以下、後者は50人以下となります。

2)掛金
掛金は月額5,000円から30,000円までの範囲の定められた16通りの中から選択することができます。
これらに加え、労働時間が週30時間未満のパートタイム従業員等については、月額2,000円から4,000円までの範囲の定められた3通りの中から選択することができます。
さらに、新しく中退共に加入する事業者には、掛金の一部を国が負担するなどといった、国による助成もあります。また、掛金は、法人企業の場合は損金として、個人企業の場合は必要経費として、全額計上できます(資本金の額または出資の総額が1億円を超える法人の法人事業税には、外形標準課税が適用されます)。

3)メリット・デメリット
メリットは、1.従業員が24ヵ月以上勤務すれば退職金が掛金総額を上回る 2. 掛金が全額損金(個人事業者の場合は必要経費)になる 3. 退職金は中退共から従業員に直接支払われるため、退職金の支払い時に会社に不利益は生じない 4. 従業員の福利厚生に利用できる提携サービスがある 等が挙げられます。 対してデメリットは、 1.掛金をいったん決めると後に減額しづらい 2.掛金は一円も返済されない 3.全従業員が対象となる制度のため、会社として退職金を支払いたくない従業員にも自動的に支給されてしまう 等が挙げられます。

4)まとめ
中退共は以上のような制度となります。メリットとデメリットを比較し、また、他の退職金積立手段とも比較して、自社に向いている制度であると感じられましたら、加入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

「出張旅費規程」を使った節税

出張が多い経営者の皆様、「出張旅費規程」についてご存じでしょうか。

出張にかかる諸経費の取り扱いを定めたものを出張旅費規程といいます。

法人の場合、出張旅費規程を作ることで節税になるメリットがたくさんあります。

◆日当を支払うことができる

出張旅費規程を作成しておくことで、日当を出すことができます。日当は会社の経費になります。

国内出張の日当であれば、課税仕入となるので消費税の節税にもなります。

また、日当は通常の給与とは異なり非課税所得です。

所得税等がかからないので、日当を受け取る側にとってもメリットとなります。

◆交通費・宿泊費は定額支給、実費精算の必要がない

飛行機や新幹線などの交通費や宿泊費は、出張旅費規程に従った金額で支給することができます。

例えば、ファーストクラスやグリーン車の料金を支給すると決めておけば、

その額を経費にすることができるのです。

実際にかかった金額と支給額との差額は、お小遣いとして利用することができます。

お小遣いも非課税所得なので税金がかかりません。

◆注意点

・出張旅費規程を作る場合は、全社員が対象となります。

 役員にのみ日当を出すといったことはできません。

 ただし、役職によって金額に差をつけることは可能です。

・出張先での飲食は、日当の金額内で済ませる必要があるため、

 「日当」+「会議費」の計上はできません。

・出張旅費規程に従って経費を計上するにあたって「出張旅費精算書」の作成が必要です。

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 出張旅費規程を活用してみたいと思われた方、どうぞお気軽にご相談ください。

経営セーフティ共済とは

生命保険に比べて安い掛金で、もしもの時の保障に備え、さらに確実に節税効果を見込めるとして、中小企業や個人事業者向けの共済制度が注目を集めています。
そこで今回お薦めしたのが経営セーフティ共済という制度です。

1)制度内容
引き続き1年以上事業を行っている会社又は個人の事業者を対象にした制度です。

中小企業者の取引先事業者が倒産した場合に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するために共済金の貸付けを行う共済制度で、中小企業者の経営の安定を図ることを目的としています。

2)掛金
掛金は月額5,000円から20万円までの範囲で5,000円刻みで自由に選択し、掛金総額が800万円になるまで積み立てることが出来ます。
年払いに変更することもでき、掛金総額800万円までの範囲ならば、最大240万円を一括損金計上することが可能です。
個人事業主が掛金を支払った場合は事業所得の保険料などの科目で必要経費として処理をし、法人の場合には損金として処理します。取引先が倒産し売掛金債権等が回収困難になった場合は、積み立てた掛金総額の10倍または被害額のどちらか少ない額の範囲内で、最高8,000万円の貸付けを受けることが出来ます。

3)解約手当金
12ヵ月分以上の掛金を納付している場合は、掛金の納付月数に応じて掛金総額の75%~100%を解約手当金として受け取ることができます。
解約した場合の解約手当金は、法人の場合は益金、個人事業の場合は事業所得となります。

節税対策の一環としても、もしもの場合の資金繰り対策としてもお薦めの制度です。
しかし個人の不動産所得では掛金の必要経費として計上ができません。
加入要件等確認した上で、加入をご検討ください。

サラリーマンの確定申告~給与所得者の特定支出控除~

サラリーマン(給与所得者)の方の節税方法は、ふるさと納税などの
寄付金控除や医療費控除などがよく知られていますが
今回は比較的なじみの薄い【給与所得者の特定支出控除】という節税方法をご紹介します。

◆給与所得者の特定支出控除(平成28年以後適用分)とは
給与所得者が特定支出をした場合、その年の”特定支出の合計額”が”給与所得控除の1/2の額”を超える
ときは、その超える部分の金額を確定申告で給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度です。
※給与所得控除額は給与の金額によって異なります。

◆特定支出控除額の計算~サラリーマンのAさん(年収300万円、特定支出額60万円)のケース~
年収300万円の場合、給与所得控除額は108万円です。特定支出控除額は60万円-108万円×1/2=6万円となり、この6万円を給与所得控除後の所得192万円(300万円-108万円)から差し引きます。
この差引所得186万円に対して税金がかかります。

◆節税の効果
上記のケースでは節税効果としては3千円にしかなりません。
そもそも特定支出に該当するもののほとんどは会社が負担してくれるものです。
しかし仕事上で臨時の大きな出費が出た場合には特定支出控除という制度を知っていることで
金額によっては大きな節税効果につながるかもしれません。
“サラリーマンでも確定申告で税金が戻ってくるかも”ということだけはお忘れずに。

経営者のための退職金 小規模企業共済

退職後の生活資金の蓄えに不安を感じたことはありますか?
特に退職金のない個人事業主や経営者の方は、ご自身で資金を蓄えておく必要があり、
悩まれている方も多いのではないでしょうか。
そこでお勧めしたいのが【小規模企業共済】という制度です。
この制度は、国がつくった個人事業主や経営者のための退職金制度で、全国で160万人以上の方が加入しています。

◆掛金は全額所得控除

掛金は、月額1,000円~7万円の範囲内で自由に設定でき、全額が所得控除の対象となります。
例えば、月に7万円の掛金を払った場合、年間で84万円の所得控除を受けることができます。

◆共済金を受け取る際にも控除が

共済金の受け取り方は、一括・分割・併用を選ぶことができます。
共済金を分割受け取りする場合は、公的年金と同じ所得控除を受けることができます。
また、一括で受け取る場合は、退職所得と同様の所得控除が適用されます。
つまり、掛金を支払う時と共済金を受け取る時のどちらでも所得控除を受けることができるので、大きな節税につながります。

◆もしもの時のサポートに

契約者貸付制度があり、納付した掛金の範囲内で事業資金の貸付けを受けることもできます。

上記のように、様々なメリットがある小規模企業共済制度ですが、

・納付期間が1年未満で解約した場合は掛け捨てになる
・加入期間が20年未満の場合は元本割れのリスクがある

などといった注意点もございます。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

税務の基本_消費税(免税事業者・課税事業者)

物品やサービスを提供する時、販売価格には消費税が加算され、消費者は消費税を含んだ価格を支払います。事業者は、消費者が支払った集計消費税を通常、毎年決まった時期に納税する必要があります。
※消費税の納税を免除される場合もあります。

近い将来、増税になる消費税
今回は「免税事業者と課税事業者」について基本的なところをお伝えします。

免税事業者と課税事業者とは
■免税事業者_消費税の納税義務が免除される事業者
【条件】
・基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万以下で特定期間の課税売上高もしくは支払った給与等の金額が1,000万以下の事業者
・資本金1,000万未満で設立した法人の第1期目
・開業初年度の個人事業主
・特定期間の課税売上高もしくは支払った給与等の金額が1,000万以下の事業者の第2期目
※特定期間とは、法人は前事業年度開始の日から6か月間・個人事業主は前年の1/1~6/30までの期間

■課税事業者_消費税の納税義務がある事業者
【条件】
・基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万を超える事業者
・特定期間の課税売上高、支払った給与等の金額がともに1,000万を超える事業者
・資本金1,000万以上で設立した法人の第1期目および第2期目
・課税事業者選択届出書を提出した事業者

例えば、
課税事業者の条件に該当しない場合は、原則開業から2年間は消費税が免除されます。
しかし、その年の課税売上高が1,000万を超えた場合には2年後より課税事業者となり
消費税の納税義務が発生します。

消費税は、普段の生活に溶け込みすぎて意識しづらく失念してしまう場合もあります。
【消費税はあくまで預かっているお金】という税務の仕組みを理解し
資金繰り計画をしっかり立て余裕を持った経営を一緒に考えていきたいですね。

法人と保険の活用

「法人と保険」というと、皆様はどんなイメージをお持ちでしょうか。
保険会社では、保険料の全部または一部を経費として計上して税負担を軽減できる商品があり、
その点から「節税商品」といった売り方がされています。

法人保険には、節税以外の機能もたくさんあり、
今回は、その中から退職金の積み立てとして活用する方法をご紹介します。

<解約返戻金を退職金として積み立てる>
貯蓄性のある生命保険は、退職金等を積み立てるのに利用されます。

適切なタイミングで解約を行えば、支払った保険料の一部または支払った額以上が、
「解約返戻金」として返ってくるからです。

◇「解約返戻金」を積み立てる保険商品と経理上の扱い

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※がん保険は終身タイプで解約返戻金のあるものが該当します。

退職金の支出をされる際に、解約返戻金を得ることで退職金支払いの資金となります。
また、解約返戻金は全額が収入となるわけではなく、
解約返戻金から資産計上分(支払保険料総額の1/2)を引いた金額を収入とするため、
法人税の負担も少なく済みます。

<医療保険を退職金代わりに支給する>
終身タイプの医療保険の保険料支払いを退職までの期間にし、
支払が終了してから経営者個人に名義変更する方法もあります。

この方法では、経営者が退職する時に退職金代わりに保険を現物支給することになります。
これによって、経営者は退職後、保険料の負担をすることなく一生涯にわたり医療保障を
受けることができます。支払保険料は、全額が経費に計上できます。

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法人保険には様々な活用方法があります。
自社の資金繰りに余裕がある時期に、ぜひ検討されてはいかがでしょうか。

スイッチOTC薬控除

2016年度税制改正において創設されたスイッチOTC薬控除は、特定一般用医薬品等の購入費用が
年1万2000円を超えた場合には、その購入費用のうち1万2000円を超える額を
所得控除できる制度で、現行の医療費控除との選択適用となります。
これまで医療費控除が受けられるのは原則1年間に使った家族の医療費が10万円を
超えた場合でしたが、2017年から申告のハードルが下がることになります。
今回は来年から導入される「スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)」の概要を紹介します。

これまでの医療費控除は病気やケガをして1年間に使った家族全員の医療費が10万円
(総所得金額200万円未満の人は、総所得金額の5%)を超えた場合に、
確定申告すると税金が戻る可能性があるというものでした。
病院や診療所に支払った医療費のほか、医療機関までの交通費、ドラッグストアで購入した
薬代なども計上できます。今回、新たに導入されることになった
「スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)」は、1年間に街の薬局で購入した市販薬が
1万2000円を超えると、所得から控除できるようになります。
ただし、利用期間、控除額、対象となる市販薬の種類は、次のように決められています。

◇利用期間
      2017年1月1日~2021年12月31日まで
◇対象となる市販薬
      医療用成分が配合された薬局で購入できる市販薬で、「スイッチOTC」と呼ばれているもの。
      ※厚生労働省のホームページに対象品目一覧が掲載されています。
◇控除額
      1年間に、自分や家族が購入したスイッチOTC医薬品の金額のうち1万2000円を超えた部分の金額。
      例えば、1年間に購入した医薬品の金額が5万円だった場合は、
      3万8000円をその年の所得から控除が可能です。

スイッチOTC薬控除は病院や診療所の利用が少ない家庭の税金を優遇することを目的に
作られたものですので、出産や長期入院で医療費が10万円を超えるようなケースでは、
従来の医療費控除を利用する方が得になります。
2017年からは今まで医療費控除を受けられなかった方でもスイッチOTC薬が1万2000円を
超えていれば控除を受けることが出来ますので、
日頃の領収書を確認されてみてはいかがでしょうか。