「争族」の問題

相続トラブルの件数は近年増加傾向にあります。「兄弟みんな仲がよいからトラブルになんてならない」「こどもたちは、きっと譲り合うと思う」と考えていらっしゃる親御様も多いのではないでしょうか。

◆争族になった事例をご紹介します。
・被相続人 母  相続人 子3人(長女・長男・次男)
次男には生前家の購入資金の援助をしていた事実を長女・長男は知っていたため、2人で財産を分けることで話を進める予定でした。
しかし、相続する財産がないことを知った次男から、法定相続分の現金の支払いを要求されました。
・被相続人 父  相続人 子4人(長男・長女・次女・長男の嫁)
長男が引き継ぐことで遺産分割協議を進めていましたが、長女・次女から「分割案に納得がいかない」「嫁が養子に入っていることは知らなかった」と不満が出て、協議を進めること自体が難航。調停に進み相続発生から3年後、長女・次女へ法定相続分の現金を支払うことでまとまりました。

◆遺言書通りにまとまった事例をご紹介します。
・被相続人 母  相続人 子4人(長男・長女・次男・次女)
生前、母と同居して面倒を見てきた次男に全財産を相続させる内容の遺言書を作成。相続発生後、相続人全員が集まる場を設けることなく相続登記・申告書作成を完了。遺言書には、他3人の子供に生前資金援助をしてきたこと、父相続時には財産を相続してもらったことを含めこの遺言書に納得してほしい旨が記載されていました。
その後、財産をほしい旨を主張してきた3人が遺言書の存在を知り、判子代の支払い等なく遺言書のまま進めることができました。

遺産分割はいつまでに行わなければならないという決まりはありませんが、相続税の申告期限内である相続発生から10ヶ月以内に遺産分割が決まらなかった場合には法定相続分により計算された金額で未分割のまま仮申告し、分割が決まり次第改めて申告することになります。その場合、以下の各減額・特例は適用されません。
・配偶者の税額軽減(注)              ・物納
・小規模宅地等の評価減の特例(注)         ・農地の納税猶予の特例
(注)事前に届出を提出し3年以内に分割決定後は適用可能

これらの特例を適用しないで計算するため多額の納税資金が必要となります。問題が起こらないためには、生前に遺産相続について話し合いの機会を設けることや、遺言書の作成をお勧め致します。ご心配な方はお気軽にお問い合わせくださいませ。