昨年末に公表された税制改正大綱 「歴年贈与」について

今年も残り約1ヶ月となり、年内に行う様々な節税手法を検討する時期となりました。
そうした手法の1つである暦年贈与について、税制改正により廃止もしくは変更になる可能性がございます。今回は、その内容についてご案内します。

■暦年贈与とは
1月1日から12月31日までの間に行う贈与のうち、110万円までは税金をかけないという制度です。ただし、相続が発生した日から3年以内の贈与については相続財産に含めるという「3年持ち戻し」のルールがあります。

■現行法
今までは毎年110万円までであれば税金がかからないので、相続が発生した時の相続財産の金額を減らすことができ、合法的に相続税額を減らすことができました。相続が発生した日から3年以内の贈与に関しては相続財産に含めるとされていますので、長い年月であるほど多くの資産を無税で引き継げるため、「20年以上かけて、自社株の全額を先代から税負担なしで引き継げた」というケースもありました。

■税制改正大綱
令和3年度税制改正大綱では、「今後、諸外国の制度を参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税の確立に向けて、本格的な検討を進める」との文言が明記されています。
この公表された税制改正大綱の具体的な施策や制度改正はまだ発表されていませんが、110万円の控除が廃止されるか、相続発生から遡って相続財産に含めるという年数が現行の3年から諸外国並み(イギリス7年、フランス15年等々)になる可能性も出てきました。

いつから適用されるか等の検討段階ではありますが、相続対策としては今までとは違う形での対応が必要となってくる場合もございますので、より早い段階での対応と準備が必要になってきます。

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