民法改正~変わる相続~

相続に関連する規定が民法改正により約40年ぶりに見直されました。
2020年までに順次適用される新制度についてご紹介します。

◆配偶者居住権の新設
ご自宅の相続について、今までは「所有権」のみだったものが、
今後は「所有権」と「配偶者居住権」の2つに権利を分けられるようになります。
配偶者が相続する際、「配偶者居住権」を取得すれば、
「所有権」を他の相続人が取得した場合でも自宅に住み続けることができます。
また、従来の「所有権」よりも「配偶者居住権」のほうが財産評価額は小さくなるため、
その分、多くの財産を取得することが可能になります。
例)配偶者の相続分→5,000万
改正前:ご自宅の所有権(3,000万)+その他の資産(2,000万)
改正後:ご自宅の配偶者居住権(1,500万)+その他の資産(3,500万)
さらに、配偶者が遺産分割対象の建物に住んでいる場合、
遺産分割が終了するまで(最短でも6か月)は無償で住むことができる
「配偶者短期居住権」も新設されます。

 

◆おしどり贈与が特別受益の対象外に
おしどり贈与とは、20年以上の婚姻期間がある夫婦間で
居住目的の不動産(または不動産購入資金)を贈与した場合、
2,000万円まで非課税になる制度です。
長年連れ添った配偶者の功労に配慮したこの制度ですが、
現状、相続の際には、おしどり贈与された分について特別受益とみなされてしまいます。
特別受益の分、配偶者の相続分が減ってしまうため、
その他の財産を十分に受け取れない恐れがありました。
今回の改正により、おしどり贈与分は特別受益とみなされなくなるので
配偶者の相続分が確保され、老後の生活の安定につながります。

 

◆遺産分割前に生活費を引き出せる
亡くなった方の遺産は、亡くなった時点で相続人全員によって共有している状態となります。
そのため、遺産分割が終わらなければ、預金などを勝手に引き出すことができないのが現状です。
生活資金や葬儀費用を故人の口座から引き出せないと不便が多いため、
引き出して利用できるように改正されます。
引き出し限度額などは現在検討中です。

以上、3つの改正点についてご紹介しました。続きは来月ご紹介します。

 

To Be Continued…