相続税の納税について

相続税の納税方法

相続税の納税方法は、原則的には現金による一括納付となります。しかし、土地や建物などの実物資産を相続した場合は手元に現金はなくても、相続税を納めなくてはならないというケースが出てきてしまいます。このように現金一括納付が難しい場合は“延納”、延納も難しい場合に限って“物納”という納税方法が認められるケースがあります。いずれの方法についても納期限までに税務署に申請書類を提出し、許可を受ける必要があります。

延納制度の概要と問題点

延納は払うべき相続税のうち、払うのが困難な部分について最長20年で分割払いを認めてもらう制度です。

(1)金利の負担が重い

延納は本来の期限を延長するため、当然のことながら利息相当の利子税がかかってしまいます。低金利のこの時代にあって、現行の銀行金利より負担は重いものとなっていますので、銀行等から借入が可能な場合どちらが有利か検討したほうがよいでしょう。

(2)担保の提供が必要

延納とは、いわば国から相続税を借金しこれを分割で返済していくものですので、担保の提供が必要となります。納期限までに分割協議が整わず、未分割となっている財産は担保にはできませんので注意が必要です。

※延納税額が100万円以下で、かつ延納期間が3年以下の場合は担保の提供の必要はありません。

物納制度の概要と問題点

物納は延納でも納付が困難な場合に限り、相続財産そのもので相続税を納める制度です。

(1)事前の準備が煩雑

物納を税務署に申請した後、原則3ヶ月以内に許可または却下の審査がなされるので基本的に申請時に書類が全て揃っていないと物納は許可されません。そこで、書類の事前準備が必要となってきます。例えば土地を物納する場合、必ず測量が必要となってきます。測量結果を図面にして書面に署名・押印をする手続きを行います。測量は関係者立会いのもと、隣地や道路との境界に杭を入れ、識別可能な土地に施しますが関係者との日程調整や公道の場合、役所との権利調整などの利害も絡むため、その調整は容易ではありません。

分割協議と納税方法はセットで

このように、延納・物納には、それぞれの要件がありますが、これらの納税方法は相続人ごとに税務署が判定します。同じ相続でも相続人Aは延納が認められ、相続人Bは物納を申請したのに延納すら認められないという事態が発生するのです。したがって、分割協議で財産を分けるときは、どの財産を相続したら、どんな方法で納税するのか財産分けと納税方法はセットで考えておきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。相続税はよほどの事情がない限り、現金一括納付を求められます。もし延納や物納の申請を検討されている方がいらっしゃいましたら、一度税理士等の専門家に相談し、よく検討されたうえで申請することをおすすめします。