国内外の宿泊税・入島税について

秋の行楽シーズン、皆様はどこかへお出かけの予定はありますか。
最近は、外国人観光客の姿を見ることも多くなり、2024年6月に日本を訪れた外国人観光客は313万人となり、月ごとで過去最多となりました。2024年1月から6月までの半年間でも、1,777万人でこの時期として過去最多を更新しています。

観光客の増加は地域経済に恩恵をもたらす一方で、オーバーツーリズム問題により、公共交通機関の混雑、ゴミ処理、騒音など、深刻な問題となっている地域があります。その対策のため、オーバーツーリズムが深刻化している30超の自治体では、宿泊税や入島税といった観光税の導入・検討が進んでいます。

今回は、国内外で導入されている(導入予定となっている)宿泊税と入島税について観光地の取り組みを紹介します。

【宿泊税】
ニセコ町(北海道)
スキーを中心とする国際的なリゾート地として知られる北海道ニセコ町は、2024年11月に宿泊税を導入予定です。
税額:1人1泊最大2000円
 対象者:国内外からの宿泊客
 ※大学を除いた学校が主催する修学旅行などは対象外
 徴収方法:ホテルや旅館などの各宿泊施設が宿泊代に上乗せして徴収
 税の活用例:交通網の充実や、観光案内のデジタル整備などに使用

【入島税】
・宮島(広島県)
地方自治体独自の税金が2023年10月1日より新たにスタートしました。
その名も「宮島訪問税」。お隣の広島県廿日市市が制定した税金で、観光名所として名高い宮島を訪れる観光客に対して課税する税金です。入島税は全国初。
 税額:1回の訪問につき100円(1人500円で年間パスポートのような支払方法もあり)
 対象者:船舶で宮島を訪問するすべての方
 ※未就学児や修学旅行生とその引率者、障害者手帳交付者、宮島に居住・通勤・通学する人は対象外
 徴収方法:フェリーなどの運賃に上乗せなど
 税の活用例:訪問者の受入環境整備費(観光案内やトイレの整備など)や文化財や歴史的建造物の保存、島内無償ウォーターサーバーの設置などに充てられる

入島税は、海外でも導入されています。
・ベネチア(イタリア)
イタリア北部にある運河の街べネチアは、夏に多くの観光客が訪れることでオーバーツーリズムに直面し、数年前から観光税の導入を検討してきました。
2024年4月25日から、試験的に入島税を徴収することになりました。
 税額:1日5ユーロ(日本円で約800円)
 対象者:指定日にベネチアへ訪れる日帰り観光客
 税の活用例:観光地の施設の維持管理や清掃、地域住民の支援サービス等に使われる予定

・バリ(インドネシア)
インドネシアのバリ州政府は、2024年2月14日から徴収を開始しました。
 税額:15万ルピア(日本円で約1,500円)
 対象者:バリ島を訪問する全ての外国人観光客
 税の活用例:バリの文化と自然の保護に使われる予定

宿泊税や入島税の紹介をしてきましたが、観光客のための整備などに充てられるのであれば、有意義な税金となるのではないでしょうか。この税金がどのように使われ、町の魅力をどう高めていくのか、今後の展開に注目が集まりそうです。