今回は2024年度の税制改正を踏まえて、法人における交際費等の経費の取り扱いについて紹介します。
1.交際費とは
法人にとって、交際費、いわゆる接待に使った費用が損金算入される(=経費となる)ことは一般的に知られていることかと思いますが、現在の税法上では交際費は原則的に損金算入しないこととされています。
政府には税金を公平に徴収したい、そのため使途が明確でない交際費は経費とすべきでないという言い分があり、一方で経済界には、交際費は事業の運営上必要なものだから経費とされて然るべきという言い分があり、その両者の対立が背景となり、1954年に交際費を損金算入することに初めて制限が設けられ、以降企業の規模や、交際費の金額の多寡によって、何度も調整がなされてきました。
2024年の改正前までは、損金算入しないという原則の上で
①一人あたり5,000円以下の飲食費等は、交際費には含めない
②中小法人以外は飲食費等の50%を、中小法人は飲食費等の50%か年800万円までのどちらか有利な金額まで損金算入できる
という2つの特例措置が設けられていました。
2.2024年度の改正概要
今回の改正では、上記の特例措置のうち、①の金額が変更となりました。
2024年4月1日以後は、一人あたり10,000円以下の飲食費等は、交際費には含めないこととされます。
物価の上昇への対応や、コロナウイルスによってダメージの大きかった飲食店の需要を抑制しないことが、狙いとなっているようです。
また、こちらは税制改正による変更はありませんが、限度額内の飲食費等を交際費に含めないために、帳簿書類に金額や支出した年月日の他、参加した得意先や関係者名、参加した人数を記録しておく必要があります。
税制改正と物価高を踏まえて、交際費の社内ルールの見直しを行ってみるのもよいかもしれません。
飲食店経営事業者の方はメニューの価格改定を行ってみるのはいかがでしょうか。
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