平成29年度税制改正で、タワーマンションの固定資産税が見直されることとなり、
タワーマンションを利用した節税に一定の規制がかけられました。
そこで今回は、タワーマンションを利用した節税についてと、税制改正による影響についてご紹介します。
◆従来のタワーマンションの固定資産税
タワーマンションの価格は、一般的に眺望の良い高層階の方が低層階より高くなっているケースがほとんどです。しかし、従来のタワーマンションの固定資産税は、階が上か下かは関係なく、床面積が同じなら同じ税額が課せられていました。すなわち、高層階の人は、高値で購入したのに低層階の人と固定資産税額が同じなので、相対的に得をしていたことになります。
また、相続税においては、建物の評価額は固定資産税額が直接影響するため、高階層の固定資産税が相対的に低いことを利用して、自分の資産の評価額を効率的に下げることにより節税を図る人も続出していました。
◆今回の税制改正について
上記のままでは不公平だということで今回、物件の資産価値に応じて、固定資産税も変わることになりました。具体的には、中間の階の固定資産税額は現状のまま、そこから階数が1階ずつ上がるごとに約0.26%ずつ税額が上がり、逆に中間の階から1階ずつ下がるごとに税額は約0.26%ずつ下がります。この計算によると、例えば50階建てのマンションの場合、低階層の固定資産税は高階層よりも約13%低くなります。
ちなみに、この改正は従来の固定資産税を変更するものではありません。すなわち、昔に購入したタワーマンションの固定資産税額が変更されるわけではないということです。
◆税制改正の効果
今回の改正は、マンション1棟全体の固定資産税額が増税されたわけではなく、現行と変わりません。また、今回の改正が行われたとしても、依然としてマンションを購入することによる相続税上のメリットは残っています。そのため、改正の効果は限定的であるという見方をする人もいます。
しかし、タワーマンションまわりの税制改正が今回のもので終わりという保証はなく、政府がこの問題を重視するようなら、今後もこのような改正が続いていく可能性はあります。
そのため、相続対策を考えている方は、この先の動きにも注目しつつ検討をしていくことをお勧めいたします。