近年、エンディングノートに関する書籍やCMをよく目にするようになりました。
自分の想いを残す方法として既に存在する遺言書とどう違うのか、遺言書における新しい法律を含めてお話いたします。
◎遺言書とエンディングノートの違い
この2つはともに自分の遺志を残った方々に伝えるものですが、いくつか違いがあります。
1.法的効力の有無
遺言書は相続財産の分割の仕方やお墓の引継ぎ等について指定することが可能ですが、エンディングノートでは希望は伝えられても強制力はありません。
2.書き方のルール
遺言書は自筆での作成や日付が必要である事(財産目録のみPCでの作成が可能)、相続財産の分割の明記等、決まったルールに則らないと有効になりません。一方、エンディングノートは形式を問わないため、PCやスマートフォンでの作成も可能です。
3.作成費用や確認方法
遺言書は公正証書遺言と自筆証書遺言の2種があり、公正証書遺言で作成する場合は数万円から数十万円程度の費用がかかります。また、自筆証書遺言は公正証書遺言に比べて費用がかからない一方で、勝手に開封できず、家庭裁判所の検認が必要になります。エンディングノートは市販のノートに書いても良いので、形式を問わなければ数百円程度で済み、書き換えや確認も簡単にできます。
◎自筆遺言証書の保管に関する新たな法律について
一般的に遺言書を残そうと考えると、自筆証書遺言を思い浮かべるのではないでしょうか。ただ、自筆証書遺言については「紛失や亡失」「相続人が勝手に廃棄したり内容を書き換えたりする」等の問題があり、これが争いにつながることもあります。
そこで法務局での保管制度が創設され、令和2年7月10日より施行されました。
○法務局で保管する利点
・原本のほかデータ保存もされるため、全国の保管所で閲覧や交付申請ができる。
・遺言書の改竄や隠匿の心配がなく、保管前に書式の確認が行われるので裁判所での検認が不要である。
○保管の際の注意点
・保管する場合は遺言者本人が保管所に行く必要があり、申請できる保管所も限定されている。
・内容を変更したい場合は、先に保管した遺言書を撤回し再度保管手続きをする必要がある。
・氏名や住所等に変更が生じたら、届出を出す必要がある。
・相続人は相続開始以降でないと遺言書の閲覧や交付申請を行えない。
以上、遺言書・エンディングノートについてのお話でした。
これらを通じて「想い」を残すことで、穏やかに相続が進んだ事例もたくさん存在します。
相続に関するご相談の際は、ぜひ「想い」を一緒にお聞かせくださいませ。