「消耗品」と「備品」どう分ける? 少額資産の経費化ルールをやさしく解説
パソコンや机、エアコンなどを購入したとき、「これは消耗品費でその年の経費にできるの?」「備品として減価償却しなければならないの?」と迷った経験はありませんか。事業で使用する資産を購入した場合、会計上の処理方法によって経費になるタイミングが異なります。今回は「消耗品」と「備品」の違いや、中小企業に有利な特例制度について解説します。
【「消耗品」と「備品」の定義】
◆消耗品とは
使うことで消費・摩耗していくもの、または使用可能期間が短いものをいいます。コピー用紙・文房具・インク・電池などの「使ったらなくなるもの」がイメージしやすい代表例です。会計上は「消耗品費」として、購入した年の経費にできます。
◆備品(固定資産)とは
備品とは、1年以上にわたって継続して使用する資産のことです。パソコン、机、椅子、エアコンなどが該当します。こうした資産は購入した年に全額を経費にするのではなく、使用できる期間に応じて少しずつ経費化していくのが原則です。これを「減価償却」といいます。
このように、「短期間で使い切るか/長く使い続けるか」という使用期間が判断目安となります。ただし、実務上は「消耗品」か「備品」かの判断に迷うケースも少なくありません。
そのような場合は、取得価額(本体価格+送料・設置費用などの付随費用)がいくらかで判断すると整理しやすくなります。
取得価額が10万円未満の資産であれば、原則として消耗品費として購入した年に全額経費にすることができます。一方、10万円以上になると備品として資産計上するのが原則ですが、中小企業は一定の要件を満たすことで特例制度を利用できる場合があります。代表的なのが「一括償却資産」と「少額減価償却資産の特例」です。金額の区分ごとに、選べる処理方法は次のとおりです。
| 取得価額 | 処理方法 |
| 10万円未満 | 消耗品費として全額その年の経費 |
| 10万円以上20万円未満 | ①一括償却資産(3年均等)/②少額特例(即時償却)/③通常の減価償却 |
| 20万円以上40万円未満 | ①少額特例(即時償却)/②通常の減価償却 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却のみ |
【一括償却資産とは?】
一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について利用できる制度です。
通常であれば耐用年数に応じて減価償却を行いますが、一括償却資産を選択すると取得時期(月割計算をしないため)、耐用年数に関係なく3年間で均等に経費化できます。
例えば15万円のパソコンを購入した場合、毎年5万円ずつ3年間にわたって経費として計上します。
- メリット:①償却資産税(固定資産税)の対象外になる②月割計算が不要で、決算間際に購入しても初年度から1/3を計上できる③会計処理が簡単で、青色申告でなくても規模を問わず使える
- デメリット:①その年に全額は落とせない(3年均等に分ける)ため即効性は小さい②途中で除却・売却しても償却を止められず、除却損を計上できない
【少額減価償却資産の特例(少額特例)とは?】
青色申告をしている中小企業者等が、一定金額未満の資産を購入した年度に全額を経費(即時償却)にできる特例です。この制度を利用すると、40万円未満の資産については、購入して事業で使用した年に全額を経費として計上できます。例えば30万円のパソコンや35万円のエアコンなども、要件を満たせば購入年に全額経費化することが可能です。年間の適用限度額は300万円となっています。
- メリット:①購入年に全額経費化でき、利益が出た年の節税効果が大きい②パソコン等の有形資産だけでなく、ソフトウェアなど無形資産や中古資産も対象③決算末の利益調整に使いやすい
- デメリット:①償却資産税の課税対象になる(一括償却資産との大きな違い)②年間300万円の上限がある③青色申告など上記の要件を満たす必要がある
【どちらを選ぶべき?】
一般的には、利益が出ている年であれば少額減価償却資産の特例を利用するケースが多くなります。購入した年に全額経費にできるためです。
ただし、一括償却資産には償却資産税がかからないという特徴があります。そのため、法人税や所得税だけでなく、償却資産税まで含めて有利不利を検討することが大切です。
例えば、15万円の備品を9個購入する場合、少額特例を使えば購入年に全額経費化できますが、償却資産税の申告対象になります。一方、一括償却資産を選べば3年間で経費化することになりますが、償却資産税の対象外となります。目先の税負担だけでなく、全体のコストで判断することが重要です。
◆令和8年度税制改正で少額特例が拡充されました
物価上昇を踏まえ、2026年(令和8年)4月1日以後に取得する資産から、少額特例が大きく見直されました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
| 対象資産の上限 | 30万円未満 | 40万円未満(10万円増額) |
| 適用期限 | 令和8年3月31日まで | 令和11年3月31日まで(3年延長) |
| 従業員数の要件 | 500人以下 | 400人以下(縮小) |
| 年間の合計限度額 | 300万円 | 300万円(変更なし) |
平成15年の制度創設以来はじめて上限が引き上げられ、これまで対象外だった35万円のパソコンや38万円のエアコンなども即時償却できるようになります。ただし年間300万円枠は据え置きのため、単価が上がる分、購入できる台数は実質的に減る点に注意が必要です。あわせて償却資産税の免税点も150万円未満→180万円未満に引き上げられます(令和9年度以後の固定資産税に適用)。
判断に迷ったときは、金額・利益状況・償却資産税への影響を踏まえて最適な方法をご提案しますので、お気軽にSOLARIAまでご相談ください。
