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会社にいる動物をどこまで経費にできるのか

働き方や福利厚生の多様化が進む現代において、ペットやその他の動物が職場にいるケースも増えてきていると思います。
会社が動物を飼育・維持するために支出する費用が、税務上どこまで経費として認められるのかについて、考えていこうと思います。

会社のペットの飼育費が経費として認められるかどうかの判断基準は、その費用が事業の売上を得るために直接必要な支出であるかどうか、つまり事業関連性が認められるかという点です。
そのため、個人的なものや愛玩目的と判断される場合には、経費になりません。

では、具体的にどのような場合に経費として認められるのでしょうか。
まずペット関連事業の場合は、飼育にかかる費用全般が経費として計上可能です。
猫カフェやフクロウカフェなどのコンセプトカフェ、ペットショップでは、動物は備品や商品であり、売上を生み出すための事業用資産そのものであるため、単なる愛玩目的とは区別され、費用計上が可能になります。
ただしこのような場合であっても、経費として認められるのは、事業と関係している動物に関してのみなので、例えば自宅で飼っている動物がいたとしても、その費用は経費計上できません。
ここまでは動物が明確に収益に寄与する事例を取り上げました。

他にも形を変えて収益に貢献するケースがありますのでご紹介いたします。
1.広告塔、マスコット
会社のHPやSNSに頻繁に登場し、会社のシンボルや広報活動としての役割がある場合。
2.受付、警備目的
応接間や受付に設置された熱帯魚など、来客の印象向上に寄与する場合や、防犯目的の番犬として活用される場合。
3.社員の福利厚生目的
職場にペットがいることで癒やしを提供しており、また社員のモチベーションを高めることで業務効率化に繋がっている場合。先述の2つに比べると、より対内的・主観的であるため、福利厚生規定への明記など、より強固な証拠が必要です。

ただし、いずれも企業のイメージアップや社員のモチベーション向上など、抽象的な貢献なため、客観的な売上貢献を証明することが難しいと考えられます。
上記のような抽象的な貢献の場合には、事業への貢献度をできるだけ客観的な数値に置き換えることが大事になってきます。
例えば福利厚生目的で動物が社内にいる場合には、動物導入後の従業員の満足度アンケートやストレスチェックの結果を実施する等、福利厚生としての効果を裏付ける記録があると良いかもしれません。

なお、コンセプトカフェなどの動物を扱う業種では、動物関連費用の経費性は容易に認められますが、その減価償却が興味深い論点になります。
動物を固定資産に計上する場合、生物という固定資産の区分になります。
動物ごとに耐用年数が定められており、例えば犬や猫であれば、耐用年数は8年です。
つまり、犬や猫の場合には、この8年という耐用年数を根拠に、動物の取得原価を減価償却費として経費計上していくことになります。
動物のような命ある存在を、その耐用年数といういわば寿命でもって資産の価値が減っていくと捉える会計処理は、動物が事業に貢献する期間にわたって公平に費用を配分していくという面で合理的なのです。

今回は会社における動物関連費用の経費計上という、非常に興味深く、かつ線引きが難しいテーマについて深く考察しました。
会社にいる愛らしい動物たちが経費として認められるかどうかの判断は、彼らがもたらす癒しという抽象的な価値ではなく、事業にどれだけ貢献しているかというルールに委ねられています。
動物関連費用の経費計上は、事業関連性の判断が非常に難しい分野です。
判断に迷われた際は、ぜひ税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。

令和7年度年末調整の改正点について

年末調整の時期が近づき、勤務先から年末調整の書類の提出を求められる方も多いのではないでしょうか。今年度の年末調整は、税制改正により昨年と比べて変更点がいくつかあります。今回は、令和7年度の年末調整の改正内容について紹介します。

※これらの改正は原則として令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。

 

  1. 基礎控除と給与所得控除の見直し

・基礎控除額について
控除額が48万円から58万円に引き上げられた上、合計所得金額に応じて段階的に控除額が

変化します。


・給与所得控除額
55万円の最低保障額が65万円に引き上げられました。

  1. 「特定親族特定控除」の新設

所得者に特定親族(※)がいる場合、その特定親族の合計所得金額に応じて一定の金額を控除する特定親族特別控除が新設されました。

なお、この適用を受ける場合は、給与の支払者に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要があります。

※特定親族とは、簡単にいうと、大学生年代でアルバイトによりそれなりの所得がある子どもです。具体的には、所得者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円~123万円以下(給与収入の場合188万円以下)の人をいいます。親族の合計所得金額が58万円以下の場合は特定親族特別控除の対象にはなりませんが、扶養控除の対象(控除額63万円)となります。

  1. 扶養親族等の所得要件の引き上げ

基礎控除の改正に伴い、扶養親族等の所得要件が改正されました。
学生、パート勤務の配偶者、年金受給者の方が新たに扶養対象となる可能性あります。

以上が令和7年度の年末調整の主な改正点になります。

改正により控除を受けられる範囲が広がっていますので、内容をしっかり整理したうえで

手続きを進めていきましょう。

 

名義預金とは何か? 税務署が注目する“家族間のお金”の実態

◆なぜ今「名義預金」が注目されるのか

近年、相続税の課税対象者が増加する中で、税務署が特に注目しているのが「現金・預貯金」の申告漏れです。中でも、形式上は家族名義であっても、実質的には被相続人の財産である「名義預金」は、税務調査で頻繁に指摘される項目です。家族間の信頼関係に基づく資金管理が、税務上は“贈与未成立”と判断されることもあり、相続税の課税財産の対象となる場合がございます。

 

◆名義預金とは何か

名義預金とは、通帳の名義人と実質的な所有者が異なる預金を指します。たとえば、親が子供名義で口座を開設し、そこに自身の資金を入金するケース。あるいは、夫の収入を妻名義の口座で管理するケースなどが典型です。名義人が預金の存在や金額を認識しておらず、管理もしていない場合、税務署はその預金を「実質的には被相続人の財産」とみなします。

 

◆税務署が名義預金と判断する基準

税務署は、以下のような観点から名義預金か否かを判断します:

  • 資金の出所:預金が誰の収入や財産から形成されたか。
  • 管理実態:通帳・印鑑・キャッシュカードを誰が保管・使用していたか。
  • 名義人の認識:名義人が預金の存在・金額を把握していたか。
  • 贈与の意思表示:贈与契約書の有無、贈与税申告の履歴など。

これらの要素を総合的に勘案し、「形式より実態」で判断されます。

税務署に名義預金ではなく贈与として認定されるよう、名義人が通帳やキャッシュカードを保管する、贈与税申告書を作成するなど、贈与の成立を証明できる実態と書面の整備が不可欠です。

 

◆最新裁決事例の紹介

令和5年の裁決事例では、孫名義の口座に祖父が定期的に入金していたケースが争点となりました。税務署は「贈与の意思表示がなく、孫が預金の存在を認識していなかった」として、名義預金と判断。結果として、祖父の相続財産に加算され、追加納税が発生しました。実務では、「贈与の実態を証明できるか」が分かれ目となります。

 

名義預金は、家族間の信頼や慣習に基づく資金管理が、税務上は否認されるリスクを孕んでいます。形式だけでなく、実態を整えることが重要です。贈与は“契約”であり、証拠が必要です。相続税対策として預金を分散する際は、税務署の視点を意識した対応を心がけましょう。

ご不明点がございましたら、お気軽にご連絡ください。

副業収入がある人は確定申告が必要?

最近では、スキルアップや収入の補填を目的に、会社員でも副業を始める方が増えています。そんな中、「副業収入は確定申告が必要なの?」「会社にばれるのでは?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。この記事では、確定申告が必要となる基準や、副業の所得区分(雑所得・事業所得)の違い、申告することで得られるメリット、注意点について、わかりやすく解説します。 

 

1.副業収入の確定申告は「所得」が20万円を超えるかがポイント 

給与所得者(会社員など)が副業をしている場合、副業による所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。ここでいう「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。たとえば、副業で40万円の売上があり、経費が30万円かかった場合、所得は10万円となり、確定申告は不要です。ただし、確定申告が不要でも、住民税の申告は所得の金額に関わらず黒字である限りは申告が必要なこと、そしてインボイス登録をしている場合には赤字であっても消費税の申告が必要なことにご注意ください。さらに、医療費控除やふるさと納税などの控除を受けたい場合も申告が必要です。 

 

2.雑所得と事業所得の違いとは? 

副業の所得は「雑所得」または「事業所得」に分類されます。分類によって申告方法や控除の適用範囲が異なるため、正しく判断することが重要です。 

  • 雑所得とは?

本業とは別に、継続性がなく、規模が小さい副収入に該当します。 

例:会社員が休日にライティングをして原稿料を得ている 

シェアリングエコノミー(Airbnb、Uberなど)で収入を得ているが、規模が小さい 

単発の講演料やセミナー報酬 

  • 事業所得とは?

反復継続的に事業として行っている収入に該当します。 

例:開業届を提出し、フリーランスとしてWeb制作を受注 

ネットショップを運営し、商品を継続的に販売 

複数のクライアントから定期的に業務委託を受けている 

 

  • 判定のポイント

収入が「事業所得」として認められるためには、営利性・継続性・独立性・設備や帳簿書類の有無など、いくつかの要素を総合的に見て事業として認識される規模で行われているかどうかを判断されます。 

たとえば、利益を得る目的が明確で、継続的に業務を行っている場合は、営利性・継続性があると判断されます。また、雇用契約ではなく、自らの責任で業務を遂行している場合は独立性があるとされます。さらに、パソコンや事務所などの設備を使って業務を行っている場合は、事業としての物的基盤があると評価されます。 

収入規模も判断材料の一つで、年間300万円以上の収入がある場合は、事業所得と認定されやすくなる傾向があります。 

 

3.青色申告のメリット(事業所得の場合) 

副業が「事業所得」に該当する場合、青色申告を選択することで以下のようなメリットがあります。 

・青色申告特別控除 

複式簿記で帳簿をつけ、期限内に申告すれば最大65万円の控除が受けられます。 

・損益通算が可能 

事業で赤字が出た場合、給与所得など他の所得と合算して税額を減らすことができます。 

・赤字の繰越・繰戻し 

赤字を最大3年間繰り越して、翌年以降の所得から控除できます。 

・専従者給与の経費化 

家族に支払う給与も、一定の条件を満たせば経費として認められます。 

 

青色申告をするには、事前に税務署へ「青色申告承認申請書」と「開業届」の提出が必要です。副業開始から2ヶ月以内の提出が原則となりますので、早めの準備が大切です。 

 

4.副業が会社にばれる可能性は? 

副業をしていることが会社に知られる可能性があるのは、住民税の通知がきっかけになるケースです。会社員の場合、住民税は「特別徴収(会社が給与から天引き)」されるのが一般的ですが、副業収入を申告すると、住民税額が増加し、会社に通知される住民税額が通常より高くなることで、副業が発覚することがあります。これを避けたい場合は、確定申告時に「住民税の納付方法を『普通徴収(自分で納付)』にする」ことで、会社に副業分の住民税が通知されないようにすることが可能です。 

 

5.申告しないとどうなる?ペナルティに注意 

副業収入が20万円を超えているにもかかわらず申告を怠ると、以下のようなペナルティが課される可能性があります。 

・無申告加算税 

・延滞税 

・税務調査による追徴課税 

副業を始めたばかりで不安な方も、領収書やレシートを保管しておき、申告時期に税理士へ相談することで安心して申告ができます。 

 

6.まとめ 

副業を始めたら、まずは「所得が20万円を超えるかどうか」「副業の内容が雑所得か事業所得か」を確認しましょう。事業所得として申告できれば、節税のメリットも大きくなります。 

確定申告は難しそうに見えますが、正しい知識と準備があればスムーズに行えます。迷ったら、税理士に相談するのもおすすめです。 

ふるさと納税ポイント制度の改正について

ふるさと納税ポイント制度の改正について 

 ふるさと納税制度は、自治体への寄付を通じてその寄付額の⼀部が所得税と住⺠税から控除される制度です。これまでは寄付額に応じたポイント付与が行われてきましたが、このポイント制度が2025101日より廃止されることになりました。「さとふる」や「ふるさとチョイス」などのポータルサイトを通じて、寄付先や返礼品を選ばれる方も多いかと思いますので、今回はふるさと納税ポイント制度の改正についてご紹介いたします。 

 

1. 202510月からのポイント制度廃止

1.1. 廃止の概要と目的 

 総務省は、20246月の方針に基づき、2025101日からふるさと納税ポータルサイトにおける ポイント付与を全面的に廃止します。この目的は、ふるさと納税が「寄付」という本来の趣旨から逸脱し、 ポイント還元による「お得感」が先行している現状を是正し、制度の健全な運用を促すことにあります。

 ※寄附に伴いポイント等の付与を⾏う者を通じた募集を禁⽌する方針 

1.2. 寄付者への影響 

 ポイント廃止後は、寄付者はポイントによるメリットがなくなるため、返礼品の内容や自治体の取り組み、寄付金の使途など、より本質的な要素を重視して寄付先を選ぶようになることが見込まれています。 

 

2. 202310月の制度改正(補足)

 2025年のポイント制度廃止に先立ち、202310月にも制度改正が行われています。 

こちらは以前に弊所でも取り上げた内容となりますので、詳しくは下記URLをご参照ください。 

https://sol-aria.com/blog/20230925/ 

 

3. 今後のふるさと納税の利用について

3.1. 寄付者が今後注意すべき点 

 ポイント制度廃止後は、返礼品そのものの魅力や、寄付金の使途への共感がより重要になります。また、 202310月の改正により、返礼品の種類や寄付金額にも変化が生じているため、最新の情報を確認する ことが不可欠です。 

3.2. 制度の健全な発展に向けて 

 今回の改正は、ふるさと納税制度が本来の目的である「地方創生」に立ち返り、より持続可能な形で発展していくための重要な一歩です。寄付者、自治体、ポータルサイトそれぞれが制度の趣旨を理解し、適切な運用に努めることで、ふるさと納税は今後も日本の地域活性化に貢献していくことが期待されます。 

 

4. おわりに

 ふるさと納税制度は、地域を応援する有効な手段として定着しています。今回のポイント制度廃止や過去の改正は、制度の透明性と公平性を高め、より多くの人々が安心して利用できる環境を整備するためのものです。今後も制度の動向に注目し、賢く活用していくことが大切です。 

役員賞与について

7月は多くの企業の賞与支給月です。しかし、役員の賞与は、原則、法人の経費にはなりません。そのため、役員の賞与を諦めている社長さんもいるかもしれません。今回は、役員賞与を法人の経費にする、事前確定届出給与の制度を紹介いたします。

・事前確定届出給与とは
事前確定届出給与とは、支払金額・支払日を定められた期間内に所轄税務署に届け出ることで定期同額給与とは別に経費として認める制度です。

・通常の役員報酬
通常、役員報酬は毎月同額を1年間継続して支給する(定期同額給与)か、決められた基準に従い毎月支払う(業績連動給与)方法のどちらかです。大半の法人では定期同額給与のみです。
定期同額給与の場合、例えば、年の途中で大きなプロジェクト成功により大幅な増収が発生するかもしれないときに、それを見越して毎月の給与を高く設定していた場合、プロジェクト失敗により売上がないときも、その高い給与を継続させる必要があります(※経営が傾くほどの影響があった場合等は除く)。

・事前確定届出給与の活用方法
上記のように、年の途中に不確かながら大きな影響のある出来事が予想される場合、事前確定届出給与が活用できます。
例えば、9月にそのプロジェクトの成否が予想される場合に、定期同額給与は例年通りの金額で設定し、11月に事前確定届出給与により役員賞与を設定しておきます。それにより、9月にプロジェクトが成功すれば予定通り賞与を支払い、逆にプロジェクトが失敗だった場合には、賞与の支払いを取りやめることができます。
また、業種として資金繰りが非常に厳しい時期と余裕がある時期が決まっている場合にも、定期同額給与を低めに抑えつつ、資金繰りに余裕がある時期に事前確定届出給与を設定しておく、という方法もあります。

・事前確定届出給与の注意点
① 届け出を行う期限があり、期限内に所定の届け出を必ず行わなければなりません。
② 支給額を届出の金額から変更できません。
例えば100万円で届け出たのであれば、80万円もしくは120万円どちらで支給した場合でも、その支給額全額が経費として認められません。
支給できる金額は届出どおりの100万円か0円かになります。経費として認められない場合、法人は法人税がかかるうえ、役員本人は所得税が課せられるため、よいことがありません。
③ 支給日は、基本的に届出の通りにする必要があります。ただし、合理的な範囲内であれば、ピッタリ届出日の通りでなくとも認められる可能性があります。

事前確定届出給与は、経営のリスクに応じて設定することで、より柔軟な経営計画を立てることができます。細かい要件や注意事項等をよく税理士と相談のうえ、検討したいですね。

住民税、森林環境税、ふるさと納税について

6月に入り、勤務先から住民税決定通知書や居住する市区町村から住民税納付書が届いたころでしょうか。住民税とは自分がその年の1月1日に居住する地域に納付する地方税です。届いたままにしたり、なんとなく納付書の金額を支払ったりしていないでしょうか。今回のテーマは住民税の徴収、令和6年度より徴収が開始された森林環境税、ふるさと納税の控除についてです。近年ふるさと納税をする人が増えていますが、住民税に反映されているかどうか確認されていますでしょうか。今回はこれらの内容についてお話しします。

 

・住民税について

(1)普通徴収

納付方法は「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。普通徴収は納税者が市区町村に直接税金を納める方法です。市区町村は納税者から申告された前年1年間の所得などに基づき、確定した住民税の税額を納税通知書に記載して納税者に送付します。納税者はこの納税通知書に従って住民税を市区町村に納めます。1年分を4回に分割するか一括で納付するかを選択できます。

 

(2)特別徴収

特別徴収とは納税者以外の者、給与の支払いをする会社などが納税者から税金を徴収して代わりに納める方法を言います。例えば会社員は原則として特別徴収税額通知が会社に送付され、会社がその会社員の住民税を毎月の給与から12分の1ずつ天引きして会社員の居住する市区町村に納めます。

 

(3)住民税決定通知書の見方

所得:前年1年間の年収から給与所得控除を差し引いた金額

所得控除:前年の所得から控除された金額

課税標準:総所得金額①から所得控除合計②を差し引いた金額(総所得③)

税額:課税標準欄に記載された課税所得をもとに計算された住民税(税額控除前所得割額)

納付欄:各月に給与から差し引かれる住民税額

 

住民税決定通知書が届くのは毎年5-6月ごろになります。市区町村から納税者や納税者が勤める会社に住民税の納付書とともに送付されます。

 

・森林環境税について

冒頭でも触れましたが、令和6年度から森林環境税の徴収が始まったのはご存じでしょうか。我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創立されました(出典:林野庁)。1人年額1,000円を市区町村に納付します。納税された森林環境税は国を通して森林環境譲与税となり、全国の都道府県と市区町村に配分されます。そして森林経営管理制度を始めとする森林整備やそれらを担う人材の育成など様々な取り組みに活用されます。

 

・ふるさと納税について

(1)ふるさと納税とは

自分の選んだ市区町村に寄付を行った場合に、寄付額のうち2,000円を超える部分について所得税と住民税から原則として全額控除される制度です。例えば50,000円を寄付すると、2,000円を引いた48,000円が所得税と住民税から控除されます。控除を受けるためにはふるさと納税を行った翌年に確定申告またはワンストップ特例制度(5か所以内の納税の場合)による手続きが必要となります。

 

(2)控除されたか確認する方法

住民税決定通知書の摘要欄にある「寄付金控除」または「税額控除額」の金額が昨年のふるさと納税額の-2,000円と同額になっていれば正しく控除されています。

 

(3)控除されていなかったら?

原因として考えられるのは申告を忘れたときです。その場合控除が適用されません。確定申告は寄付をした翌年の3月15日までですが、5年以内ならさかのぼって還付申告をすることが可能です。

 

これを機に住民税決定通知書を見直してみましょう。これまで意識したことのなかった人もご自身の住民税について確認してみてはいかがでしょうか。

企業は消費税を“払っていない”?消費税の仕組みと中小企業の苦悩

 私たちは日本で生活をしていく中で様々な税金を払っています。中でも特に身近に感じるのは「消費税」ではないでしょうか。物やサービスを購入する際には消費税を加えた料金を支払い、それはレシートにも明記されるため、多くの方が「消費税は消費者が払っている」と認識しています。では「企業は消費税を払っていない」のでしょうか。 

 今回は、そのような消費税の仕組みと、誤解されがちな実態、さらに制度の影響について考えてみたいと思います。 

 

  1. 消費税の基本的な仕組み 

 消費税は、納税者と負担者が異なる「間接税」に分類され、消費者(=負担者)が支払った消費税を企業(=納税者)が一時的に預かり、決められた期間ごとに税務署に納める、という仕組みになっています。 

 ただし、企業は受け取った消費税をそのまま納めるわけではありません。実際には、企業が仕入れ時に支払った消費税は控除され、納税するのは「預かった消費税 - 支払った消費税」の額となります。これを「仕入税額控除」といいます。 

 

2. 企業は消費税を払っていない? 

 消費税の負担者は消費者ですが、消費税の一部、あるいは全部を肩代わりしている企業が少なくありません。その原因としては価格競争や取引先との力関係で、税込価格を維持せざるを得ない状況であることが挙げられます。 

 そうなると制度上は消費者が払う税金であっても、実際には企業の利益が削られてしまうことになります。 

例:1万円の商品やサービス → 本来は税込11,000円にすべき  

 「税込1万円でお願いします」と言われる → 消費税分(1,000円)を自己負担 

 

3. インボイス制度 

 2023年に導入された「インボイス制度」も、この問題をより複雑にしました。 

 インボイス制度とは、事業者が仕入税額控除を適用するためには、登録事業者が発行する適格請求書(インボイス)を受け取る必要がある、という制度です。今までは売上が少ないことで納税を免除されていた事業者も、適格請求書を交付できるよう税務署に対して事業者登録を行うためには課税事業者になる必要があります。 

 インボイス制度により、一部の免税事業者は取引の相手から「登録しないと取引できないが値上げはできない」と圧力を受け、上記2で例示のように課税事業者となったうえで消費税相当分を自己負担とせざるを得ない状況に追い込まれています。 

   

 

4. 消費税は公平な税か? 

 政府は消費税を「広く薄く、安定的に徴収できる税」として評価しています。また、少子高齢化社会において、年金・医療などの社会保障費を支える財源として、今後ますます重要になるとも言われています。 

  ただ消費税は、所得の低い人ほど、収入に対して大きな負担を強いられ、年収1000万円の人も年収200万円の人も、同じ10%の消費税を払うのは一見公平に見えて、実際には所得が少ないほど打撃が大きいです。 

 

 消費税は消費者が払っているようでいて、現実には企業や事業者が負担していることも多く、そうした企業の負担となっています。また消費者の立場に立っても、所得の低い人ほど収入に対して大きな負担となります。 

  今後、消費税率の引き上げや制度変更が議論される中で、こうした実態を正しく理解し、単なる「数字の話」ではなく「誰がどのように負担しているのか」を意識することが、私たち一人ひとりに求められているのではないでしょうか。 

 消費税についての相談があればお問合せください。 

令和7年度税制改正「年収160万円の壁」について

 4月になりましたので、新しい環境になっている方も多いのではないでしょうか。お子様が高校生、大学生になってアルバイトを始める等周りの方の環境の変化も色々あると思います。 

 税制も41日から新制度が施行されています。その中でも世間の皆様の興味を一番惹いている年収103万円の壁の変更についてお話しします。 

 

1 年収103万円の壁とは 

 基礎控除額48万円+給与所得控除額55万円を合わせた金額のことを言います。
給与所得者については、103万円までであればいくら稼いでも所得税は非課税となります。 

※基礎控除:個人所得税において誰にでも適用される最低限の控除制度。
※給与所得控除:給与収入にかかる所得税の負担を抑えられる控除制度で、収入金額に応じて 控除額が異なります。
 

2 年収160万円の壁へ 

 (1)控除額の引き上げ 

 基礎控除を48万円から58万円に引き上げ(合計所得額が2,350万円以下の個人が対象)。給与所得控除を55万円から65万円に引き上げ。 

 

 (2)基礎控除の特例 

 それぞれ10万円ずつ引き上げられて年収の壁は123万円になると思いきや、今回「基礎控除の特例」の創設が盛り込まれました。 

 給与年収200万円相当以下であれば58万円に引き上げられた基礎控除に37万円控除額が恒久的に上乗せされます。つまり基礎控除58万円+基礎控除の特例37万円+給与所得控除65万円で160万円となりました。2025年分の所得より適用されます。 

 

 (3)住民税への影響 

 給与所得控除の最低額が65万円まで引き上げられたことにより、住民税が非課税になる年収が110万円となります。
住民税非課税額はお住いの地方自治体によって異なります。
基礎控除額については現行の43万円から改正はありません。 

 

 所得税の控除が増えたことは大変うれしいことですが、今回の改正の背景は働き手の不足によるもので、労働力を増やそうという考えのもと行われたという報道もあります
しかし所得税控除の引き上げに伴い住民税、社会保険の控除の引き上げが未だ追い付いていないので、働く側はまだ働き辛い状況のままだと思います。今後の動向に期待したいですね。 

ビットコインなどの仮想通貨を相続し、売却した場合110%の税率がかかるのか?

ネット記事や会計事務所のコラムなどで最近よくビットコインなどの仮想通貨を相続し売却した場合、最高で110%の税を取られ、
保有している資産の価値以上の納税義務を負う可能性がある、などと書かれており、不安を持つお客様もいらっしゃいます。

なぜ110%もの課税になるのか
こういった記事に書かれている内容は以下のようなものです。

(前提)
1,亡くなられた被相続人が生前仮想通貨を1万円で購入
2,被相続人が亡くなられた時点で仮想通貨の評価が100億円
3,引き継いだ相続人が仮想通貨を100億円で売却

この場合、2の相続開始時点で相続税が55%かかり55億万円の納税が発生します。
3の売却時点で100億円の売却に対し所得税・住民税が55%かかり
55億円の納税が発生し、合計110億円納めることになります。
(相続税や所得税の計算方法については簡略化しております)
このため持っていた資産(仮想通貨)よりも10億円多い税金を納めることになり
破産してしまいますよ、とネット記事などには記載されています。

こういった記事の問題点は、2つあります。
・仮想通貨に対する法整備が遅れている
・譲渡所得と雑所得を混同している

本来の租税原則にいう公平な租税とは、「担税力に応じて課された租税」ということで、
資産(担税力)を超えた110%課税は、原則から大きく逸脱している、と考えます。
法整備がされてないため、根拠が乏しいまま記事にしていると思われますが、
記事にする前に、何かおかしいと考える余地はあっても良いのではないでしょうか。

こういった記事には、仮想通貨の売却については譲渡所得ではなく雑所得だから
相続税の取得費加算(※)の適用ができないため、
さらに仮想通貨の取得費は被相続人が取得した価格の1万円を引き継ぐため
110%課税になります、と記載されています。

(※)相続税の取得費加算とは、
相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を一定期間内に譲渡した場合に、
相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる制度。
具体的には、上記の例で、この特例が利用できた場合、相続税の55億円を、
売却時の取得費(経費)として計上することができ税額を大きく減少させることが可能です。

現在の整備されていない法律上、仮想通貨の売却は雑所得として扱われ、
この取得費加算の適用は難しいのでは、と思っています。
しかし、相続後の売却時に取得費を被相続人の取得費1万を引き継いでいることは疑問です。
この取得費を引き継ぐのは、譲渡所得となる資産について規定されている財産であって
金銭債権として扱われている仮想通貨については、取得費の引継ぎの対象外です。
(所得税法59、60)

仮想通貨の売却時の課税を、金銭債権の売却として雑所得扱いにしているにもかかわらず、
譲渡所得の資産として、取得費は被相続人の購入した金額1万円を引き継ぎますよとこちらは譲渡所得扱いとして、
さらに雑所得なんだから、相続税の取得費加算の適用はできません、と「雑所得」と「譲渡所得」を
110%課税の方向へ誘導しているように感じます。

現行の法律通り、金銭債権の譲渡として雑所得課税されるのなら、
単純に55%ずつ課税されるのではなく、上記(前提)のケースにおいて以下のように計算されるはずです。

相続開始後の準確定申告において
100億円の金銭債権の評価差益に対して所得税・住民税が55億円、
その後、相続税申告時に、財産(仮想通貨100億円)から債務(所得税住民税55億円)を差し引いた45億円に対し55%の相続税約25億円が課されます。
相続人が仮想通貨を100億円で売却する際には、取得費は引き継がず、
相続時の評価を取得費として、収入(100億円)から取得費(100億円)を控除し、所得0円で所得税・住民税は課されません。
この場合の税負担は所得税・住民税55億円と相続税25億円の80億円となり、税負担は80%となります。
取得費加算を摘要できた場合とかわりませんが、それでも高額です。
今後、税制改正で整備されると思いますので、税制調査会や国会での議論を注視していこうと思います。