会社にいる動物をどこまで経費にできるのか

働き方や福利厚生の多様化が進む現代において、ペットやその他の動物が職場にいるケースも増えてきていると思います。
会社が動物を飼育・維持するために支出する費用が、税務上どこまで経費として認められるのかについて、考えていこうと思います。

会社のペットの飼育費が経費として認められるかどうかの判断基準は、その費用が事業の売上を得るために直接必要な支出であるかどうか、つまり事業関連性が認められるかという点です。
そのため、個人的なものや愛玩目的と判断される場合には、経費になりません。

では、具体的にどのような場合に経費として認められるのでしょうか。
まずペット関連事業の場合は、飼育にかかる費用全般が経費として計上可能です。
猫カフェやフクロウカフェなどのコンセプトカフェ、ペットショップでは、動物は備品や商品であり、売上を生み出すための事業用資産そのものであるため、単なる愛玩目的とは区別され、費用計上が可能になります。
ただしこのような場合であっても、経費として認められるのは、事業と関係している動物に関してのみなので、例えば自宅で飼っている動物がいたとしても、その費用は経費計上できません。
ここまでは動物が明確に収益に寄与する事例を取り上げました。

他にも形を変えて収益に貢献するケースがありますのでご紹介いたします。
1.広告塔、マスコット
会社のHPやSNSに頻繁に登場し、会社のシンボルや広報活動としての役割がある場合。
2.受付、警備目的
応接間や受付に設置された熱帯魚など、来客の印象向上に寄与する場合や、防犯目的の番犬として活用される場合。
3.社員の福利厚生目的
職場にペットがいることで癒やしを提供しており、また社員のモチベーションを高めることで業務効率化に繋がっている場合。先述の2つに比べると、より対内的・主観的であるため、福利厚生規定への明記など、より強固な証拠が必要です。

ただし、いずれも企業のイメージアップや社員のモチベーション向上など、抽象的な貢献なため、客観的な売上貢献を証明することが難しいと考えられます。
上記のような抽象的な貢献の場合には、事業への貢献度をできるだけ客観的な数値に置き換えることが大事になってきます。
例えば福利厚生目的で動物が社内にいる場合には、動物導入後の従業員の満足度アンケートやストレスチェックの結果を実施する等、福利厚生としての効果を裏付ける記録があると良いかもしれません。

なお、コンセプトカフェなどの動物を扱う業種では、動物関連費用の経費性は容易に認められますが、その減価償却が興味深い論点になります。
動物を固定資産に計上する場合、生物という固定資産の区分になります。
動物ごとに耐用年数が定められており、例えば犬や猫であれば、耐用年数は8年です。
つまり、犬や猫の場合には、この8年という耐用年数を根拠に、動物の取得原価を減価償却費として経費計上していくことになります。
動物のような命ある存在を、その耐用年数といういわば寿命でもって資産の価値が減っていくと捉える会計処理は、動物が事業に貢献する期間にわたって公平に費用を配分していくという面で合理的なのです。

今回は会社における動物関連費用の経費計上という、非常に興味深く、かつ線引きが難しいテーマについて深く考察しました。
会社にいる愛らしい動物たちが経費として認められるかどうかの判断は、彼らがもたらす癒しという抽象的な価値ではなく、事業にどれだけ貢献しているかというルールに委ねられています。
動物関連費用の経費計上は、事業関連性の判断が非常に難しい分野です。
判断に迷われた際は、ぜひ税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。